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診察室血圧140mmHgかつ/または90mmHg以上の場合は高血圧と分類されます。長期の高血圧で狭心症、心筋梗塞、腎硬化症や脳卒中といった動脈硬化性疾患が起こります。以下のように個々の降圧目標を目指して血圧管理を行います(JSH2019より)。
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
75歳未満の成人 脳血管障害患者 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし) 冠動脈疾患患者 慢性腎臓病患者(尿蛋白陽性) 糖尿病患者 抗血栓薬服用中 |
130/80mmHg未満 |
125/75mmHg未満 |
75歳以上の高齢者 脳血管障害患者 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価) 慢性腎臓病患者(尿蛋白陰性) |
140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 |
正常な心臓は一分間に常60-100回で一定の規則正しいリズムで動いています。このような規則正しいリズムで心臓が動くようにするために、心臓には”刺激伝導系”という電気回路が備わっています。この電気回路に問題が生じると”不整脈”という、脈の乱れが生じます。 遅い心臓のリズムを”徐脈”といい、速い心臓のリズムを”頻脈”といいます。
検査としては、まず心電図での検査が重要です。健康診断でも広く使われていますが、脈の速さ、異常な不整脈の有無を発見することができます。常に不整脈が起こっているわけではなく、時々不整脈が起こることがある方の場合はホルター心電図検査が非常に有用です。より詳しい専門検査としては電気生理学的検査があります。電極の付いたカテーテルを心臓へ挿入し、心臓内の電気刺激の伝わり方を記録したり、刺激を与えて不整脈を誘発し、心臓のどの部位に異常があるかを調べ、不整脈の種類を正確に診断することができます。
リスクや自覚症状の強い不整脈は治療を行います。薬物治療、ペースメーカー(刺激により遅くなった脈を電気刺激で助ける)、高周波カテーテルアブレーション(異常な部分に電流を流して焼く)、植え込み型除細動器(致死的不整脈を電気ショックで停止させる)などの治療方法があります。
当院では、職場や学校で指摘された心電図や心音異常の精密検査を行います。当院では、負荷心電図検査、心臓超音波検査、ホルター心電図検査、胸部X線検査、採血検査などを行います。高度医療が必要な場合は、疾患に応じた疾患に応じた専門医療機関をご紹介いたします。
脂質異常症(高LDL血症、高中性脂肪(TG)血症、低LDL血症)は以下のように定義されます。10~12時間以上の絶食の空腹時採血にて評価します。
高LDL血症 | 140 mg/dL以上 |
高中性脂肪(TG)血症 | 150 mg/dL以上 |
低HDL血症 | 40 mg/dL未満 |
治療方針の原則 | カテゴリー | 脂質管理目標値(mg/dL) | ||
LDL | HDL | TG | ||
一次予防 まずは生活習慣の改善を行いその上で薬物療法を考慮 |
低リスク | <160 | ≧40 | <150 |
中リスク | <140 | |||
高リスク | <120 | |||
二次予防 生活習慣の改善とともに薬物療法を考慮 |
冠動脈疾患の既往 | <100 (<70*) |
心臓は、筋肉でできていて、全身に血管を通じ血液を送り、酸素や種々の栄養を各臓器に届ける生きていくうえでかかせない最も重要な臓器です。心臓自身も血管(冠動脈)により血液が供給されています。 冠動脈が狭くなり、十分な血液が心臓の筋肉に行き渡らないのが”狭心症”です。
冠動脈が狭くなる狭心症には、動脈硬化により冠動脈が狭くなり生じる”労作性狭心症”と、冠動脈のけいれんにより血流が低下する”冠れん縮性狭心症”があります。労作性狭心症には薬物治療、カテーテル治療やバイパス治療をおこないます。冠れん縮性狭心症には、れん縮予防効果のある(血管が開く)薬物による治療を行います。
”心筋梗塞”は、冠動脈が詰まってしまい、その冠動脈が栄養する心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。死亡率20-40%と高いのも特徴です。非常に強い胸痛・圧迫感があり、冷や汗、吐き気などを伴うことがあります。一刻も早く、救急病院で診察する必要性があります。急性心筋梗塞が疑われる場合には、緊急で心臓カテーテル検査および治療を行います。
また、心筋梗塞になった人は再び心筋梗塞を起こすリスクが高く、もう一度心筋梗塞を起こすと死亡率が倍増すると言われています。そのため、厳格な糖尿病、高脂血症、高血圧、喫煙などの危険因子の管理・治療や定期的な心機能検査が必要となります。
糖尿病とは、膵臓で作られるインスリンというホルモンの作用不足
より、慢性的に高血糖になった状態のことです。インスリンの分泌量の低下やその作用が効きにくくなると、血液中のブドウ糖の濃度が上昇します。糖尿病は進行すると多飲、多尿、口渇などの症状を認めますが、初期では症状が出ないことが多いです。
糖尿病の怖さは、合併症にあります。失明原因の第一位である糖尿病性網膜症、透析原因の第一位である糖尿病性腎症、手足のしびれやインポテンツなどを伴う糖尿病性神経症、また命にかかわる重大な合併症として心筋梗塞・脳梗塞があります。
食事療法、運動療法や薬物療法などを行い、血糖値をうまくコントロールして合併症を防ぐことがとても大切です。糖尿病の治療指標であるHbA1cの結果はその場で分かりますので、すぐに治療に反映させています。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、眠っている間に呼吸が止まる病気です。10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。
この病気が深刻なのは、眠気やだるさに加え、高血圧症、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、突然死などの重大な循環器病に2~4倍程度なりやすいところにあります。
診断は、まず簡易型ポリソムノグラフィーにて疑わしい人をふるいにかけます。この機械は簡単に取り付けることができますので、ご自宅で一晩検査を行います。さらに検査が必要な場合(簡易検査で判定がグレーゾーン)は終夜睡眠ポリソムのグラフィーを行います。こちらの検査は、1泊2日の入院が必要となります。
治療は、生活習慣の改善(横向きに寝る、お酒や睡眠薬を控えるなど)で軽快する場合もあります。鼻づまりなどがある場合は鼻の治療などででよくなることもあります。十分な改善が得られない場合は、マウスピースや持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)、もしくは耳鼻科的手術が必要となります。当院でもCPAP療法の導入・管理を行っております。解析も院内で行っておりますので、事前にSDカードをメーカーに送るなどの煩わしさもありません。SDカードのタイプのCPAPご使用の患者様はSDカード持参いただき、その場で結果もご説明し、レポートもお渡ししています。インターネットで対応しているCPAPのご使用の患者様はSDカード持参の必要性もなく、安定して使用可能であれば来院されていない月はこちらで確認しますので、2ヵ月に一回の来院で管理可能です。
不眠症とは、寝る時間が確保されているにもかかわらず、不眠が続き日常生活の質の低下がみられる状態です。
不眠症のタイプには
寝つきの悪い 入眠困難
何度も目が覚める 中途覚醒
早朝に目が覚める 早朝覚醒
休息感が得られない 熟眠困難
などがあります。
不眠症続くと、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の発症のリスクが高くなると言われています。また、うつ病などの発症が高まります。
良質な睡眠を得るためには生活を改善することが大事です。快適な睡眠環境を整えることはもちろんですが、定期的な運動や規則正しい食生活が大事です。実は日本人に多い習慣であるのですが、寝酒は睡眠の質を落とすので、厳禁です。
睡眠障害の対処方法としては以下のようなことに注意しましょう。
①睡眠時間は人それぞれですので、日中の眠気で困らないようであれば気にしないようにしましょう。
②刺激をさけて、寝る前には自分なりのリラックス方法を見つめましょう。
例えば)就寝4時間前のカフェイン摂取(コーヒーや緑茶)や就寝1時間前の喫煙を避ける。
寝る前1-2時間前には、テレビ見たり、PCやスマホでのインターネットやゲームをしない。軽い読書や音楽、ぬるめのお風呂への入浴、軽めのストレッチなどはよいでしょう。
③眠たくなったら床に就くようにして、就寝時間にはこだわりすぎないようにしましょう。眠ろうとする意気込みが睡眠を妨げることがあります。
④同じ時刻に毎日起床しましょう。早起きが早寝に通じます。休みの日遅くまで、床で過ごすと翌日がきつくなります。
⑤光をうまく利用して、体内時計をスイッチオンにしましょう。夜の照明も明るくしすぎないようにしましょう。
⑥規則正しい食事や運動習慣が睡眠状況を改善します。
⑦昼寝をするなら15時前の20-30分にしましょう。長い昼寝や遅い昼寝は夜の睡眠に悪い影響があります。
⑧眠りが浅いときは積極的に遅寝・早起きにしましょう。床で長く過ごすと熟睡感が減ることがあります。
⑨睡眠中の激しいいびき、無呼吸や、足のムズムズかんがあるときは医師に相談してください。睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などの病気が隠れていることがあります。
⑩十分眠っても眠いときは医師に相談してください。
⑪睡眠薬代わりの寝酒は、睡眠の質を落とし、夜間目が覚めてしまう原因となりますので、かえって悪影響です。
⑫睡眠薬が処方された場合は正しく服用してください。寝酒との併用はしないでください。
睡眠薬の止め方
1ヶ月以上経過して、正しい睡眠習慣ができるようになり、眠れる自信がついてきたら、睡眠薬の減量を検討します。安易な中止は、不眠の再燃などの危険を伴います。睡眠薬の内服量を4分の3、2分の1、4分の1という具合に2週間以上かけて、4分の1ずつ徐々に減量していきます。
痛風は尿酸が体の中にたまり、それが結晶になって激しい関節炎を伴う症状になる病気です。日本では、明治初期に日本に滞在したドイツ人医師ベルツは「日本には痛風はない」と記録していますが、食事の欧米化に伴い日本でもありふれた病気となりました。痛風発作は激烈な痛みで、よく風が吹いただけでも痛い、と言われます。痛風発作は、炎症を抑える薬を服用すると比較的早く治る事が多いのですが、油断は禁物で多くの場合1年以内にまた同じような発作がおこります。そして繰り返しているうちに、足首や膝の関節まで腫れはじめ、発作の間隔が次第に短くなってきます。放置した場合、関節の痛みだけでなく、関節の周囲や身体のどこかに結節ができたり、腎機能が低下したり、尿路結石が出来たりします。また、血清尿酸値の高い人は心血管障害や脳血管障害の可能性が他の人より高い事がわかっております。痛風のある方は薬物治療が勧められます。その際は6mg/dL以下を目指した継続的な尿酸コントロールが必要です。痛風がなくても、高血圧・糖尿病・メタボリック症候群・慢性腎臓病などの合併症のある方は、尿酸値が8mg/dLを超えると薬物治療が勧められます。合併症がなくても、尿酸値が9mg/dLを超える場合は薬物治療が勧められます。